ゆみブロ

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さやかちゃんと"俺"第5話「Birthday Challenge」

前回のあらすじ

・ゆみちゃん、イキる

・文化祭&体育祭。ゆみちゃんの好意がさやかちゃんにバレる。

・さやかちゃん、俺の好意を確認するだけして去る。

 

 

 

前回はさやかちゃんが僕に直接好意を確かめ、確認するだけして去っていくところで終わりました。

 

さやかちゃんに好意を透かされた挙句、拒絶も肯定もされなかった経験は、当時の僕にとってはあまりにも大きかったのをよく覚えています。

 

冷静になって振り返ってみると、僕の人格が歪んでいって今に至るまでの全ての始まりは、この時さやかちゃんから何のレスポンスもなかったことだと思います。

 

自分から行動を起こせない、超ド級のヘタレだと痛感していますが、あの時に拒絶でもいいから、何かしらの反応が欲しかったなと今でも思っています。

 

 

自分のことをどう思っているのか、思わせぶりに微笑まれてもわからなかった。本当は自分と関わってるのが嫌で嫌で仕方なくて、やっと切れると思ってたのかもしれない。「その気のない人から向けられる好意ほど気持ちの悪いものはない」という言葉もある。恐らくは、そういうことだったんでしょう。

 

 

 

 

そんなことがあっても、僕たちの日常はよどみなく流れていきます。

暑い暑いと言っていた気候も段々と過ごしやすいものとなり、自転車に乗りながら浴びる風もうだるような熱風から心地良いものになっていきました。

 

あの日を境に、僕は何となくさやかちゃんと帰るのを避け始め、一人で帰るか別の友達と帰るようになっていました。

 

仲の良い友達には破局だなんだと言われましたが、そもそもの話付き合っていないので適当に流していました。さやかちゃんも恐らく同じような話をされていたはずですが、この時どういう反応をしていたのでしょう。僕は全く知らないです。

 

 

何だかんだで10月に入りました。随分と日が沈むのも早くなり、風を切る帰り道が随分と肌寒くなってきました。

 

さて、あれからあまり話さなくなっていた僕たちに、突然の大イベントが降りかかってきました。

 

なんとさやかちゃんの誕生日が目前に迫っていたのです。

 

さやかちゃんの友達とたまたま会話する機会があった時に「そういえばもうすぐさやか誕生日だけど何か渡すの?」と聞かれ、そういえば学園祭前に誕生日が近いという話をしていたのを思い出しました。しかもその時には何かサプライズで買って渡してあげようかな~喜んでもらえるかなあなんて考えていたのも思い出しました。

 

 

そう!!!!!何もかも忘れていたのである!!!!!

 

 

大事なことを忘れるのは当時から変わっていませんね。

 

さやかちゃんの誕生日まで、もう残り一週間ちょいしかありません。現状のさやかちゃんと僕の関係では、事前の入念なサーチもできません。

こうなってくるとプレゼントで渡すものは僕のセンスに任されてくるわけです。しかも当時は中学生、当然ですが今ほどの経済力は持っておらず、人生経験も浅いためプレゼントの選択肢もまともに持っていません。

 

 

しかも親に相談なんかもできません。女の子にプレゼントを渡したいからアドバイスをくれなんてとてもじゃないですが言えません。

 

 

こうなってくると僕が一人で決めるしかないのですが、いかんせん女の子の友達もおらず、その上に男友達にすら誕生日プレゼントを渡す機会のなかった僕では、何もわかりません。家に帰って必死こいて「中学生 女子 プレゼント」などという顔から火が出るほど恥ずかしい検索履歴をいくつも残し、何とかしてさやかちゃんに喜んでもらうべく様々なプランを考えるも、出てくるのはプチプラ化粧品やちょっとした雑貨など…当時の僕の行動力では厳しいような内容でした。

 

どうすりゃいいんだ…

 

ついに行き詰ってしまい、いよいよさやかちゃんの誕生日前の最後の週末になってしまいました。その日は家族で回転寿司を食べに行く予定があり、この出かける機会でいい感じのものを買うしかなくなってしまいました。

 

そして回転寿司前に訪れたスポーツ用品店にて、これしかねえ!というものを発見します。

 

今にして思えばあまりにもヤバいチョイスだとは思います。ぶっちゃけ今自分がウケ狙いでしている数多のヤバツイートよりもヤバいプレゼントだったなあと今でも思っています。

 

 

 

 

僕がさやかちゃんの誕生日プレゼントとして選んだのは、色違いのリストバンド2個でした。

 

 

 

誕生日プレゼントを渡すにあたって、最初に選択肢から消えたのは学校に持ち込みづらい食べ物系列でした。そしておのずと選択肢として浮上してきたのがアクセサリー系列、それも自分と2人お揃いになってても違和感のない、お互いに部活で使えるアクセサリー、それがリストバンドでした。

実際自分は当時リストバンドをしながら卓球をしていたため、どんぴしゃりでした。

 

本当にえげつないチョイスだと思います。今だったら絶対にしません。純粋ゆえの狂気、当時の僕にしか生み出せない物です。

 

 

そして迎えたさやかちゃんの誕生日。

もうこいつで勝負をかけると意気込み、2つのリストバンドを持って意気揚々と学校に乗り込みました。

しかしながらあの日以来一緒に帰る機会はあまりなく、自分から声をかけるのすら久々でした。

 

夕暮れ時の自転車置き場、うまい事人気の少なくなったタイミングで声をかけました。

 

ゆ「よっ!」

 

さ「どうしたの急に~!最近あんまり話しかけてこなかったクセに~!」

 

ゆ「今日誕生日らしいじゃん、はいこれ 誕生日おめでとう!」

 

さ「え~めっちゃかっこいいリストバンドじゃん!ありがとう!来週の試合に着けてくね!」

 

さ「これ2人のお揃いになってるやつ?めっちゃ良いじゃん!」

 

ゆ「バレちゃったか~wいやだったら2つとも使っていいよw」

 

さ「いやこれ使ってよ!お互いに応援してる感あっていいよね!」

 

 

 

ん~~~~~~~~~~好き!!!!!!!!!!!!!!!!

 

 

 

 

一見ウブウブで順風満帆なカップルに見える僕とさやかちゃんですが、何とまだこの時も付き合ってはいません。

この付き合ってるわけでもない関係が一番幸せだったなあと、今振り返っても思います。

まだ先は少し長いですが、お付き合いいただけると嬉しいです。

 

 

 

次回さやかちゃんと"俺"第6話「Birthday Challenge the 2nd」

お楽しみに!

 

 

 

 

 

 

ちなみにさやかちゃんに贈ったリストバンド、ワンチャンまだ持ってるかもしれないのでもし発掘したらツイートします。多分部屋のどっかにはあると思うけどなあ…