ゆみブロ

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さやかちゃんと”俺” 第2話 「夏とテストと、証明問題」

前回のあらすじ

・ゆーみん、中学進学を機になぜかオタクに

・さやかちゃんと仲良くなる。共通の趣味はボーカロイド

・さやかちゃんに猛烈なアプローチをするユウスケくんの存在が明らかに

いや?さやかちゃんはかわいいけどね

 

さて、前回は突如現れたさやかちゃんを狙う恋敵「ユウスケくん」の存在がさやかちゃんの口から明かされ、僕がテンパっていいんじゃない?と返してしまった所で終わりでした。

 

 

ちなみにさやかちゃんはユウスケくんのアプローチに結構乗り気になってました。僕が背中を押したのも一つの要因になっているのかもしれません。さやかちゃんとユウスケくんは直接絡みがなかったものの、僕が架け橋のような役目を果たした事になりました。

 

 

さてさて、僕の役割は果たしたし、またさやかちゃんと話す日々に戻ろうか…そんなことを考えていたある日、ユウスケくんに呼び止められました。

 

ユ「さやかってどんな話が好き?」

 

 

き、君もなのか…

何度も書きますが当時はまだ僕もさやかちゃんもユウスケくんも中学生。恋愛において他人を頼りがちです。

何とユウスケくんはあろうことかさやかちゃんと恐らく1番仲の良い男子だった僕に協力を求めてきたのです。

 

 

さて、今の僕ならここでいや知らんなぁ…wと上手い事流せるのですが、当時の自分は良くも悪くも正直であり友達想いでした。

 

 

よりにもよって、さやかちゃんとユウスケ君をくっつけるべく動き始めてしまいました。

いや今にして振り返ってみると本当になんでだよお前となるのですが、当時の自分は本心からさやかちゃんとユウスケ君に付き合ってほしくて色々動いていました。

 

これが今の自分だったらいや~w逆に寝取られてるみたいで興奮するでしょw結果的に俺と付き合うようになれば結果オーライwとか言ってると思うのですが…

 

さやかちゃんが今ハマっている曲やアニメがあればそれとなくユウスケくんの会話でしれっと出し、ユウスケくんはさやかちゃんと会話する少ない時間でそのコンテンツをしれ〜っと出す。そしてさやかちゃんはその事を嬉しげに僕に報告する。僕はそれをまたユウスケくんに伝える。そんな日々が続いていました。

 

このシチュエーション、当時の僕だからこそ耐えられたものだと思います。

今の僕なら耐えられずメンヘラとなり、各種SNSは地獄と化していたでしょう。

 

思えば、僕という人間がそれまでの真っ白なパレットのような人格からだんだん歪んでいったのはこの辺からかもしれません。

 

 

僕を通じてさやかちゃんとユウスケ君が仲を深めている生活を送るうちに、夏休みと1学期の期末テストが近付いてきました。中学校に入って二度目のテストです。

 

 

なぜか僕とさやかちゃんは得意教科がかぶっていました。オタクは国語が得意。

ただ、僕とさやかちゃんだと微妙に僕の方が勉強はできたので、その歳の中学生が開きがちな勉強など全くしない勉強会のようなものは開かれませんでした。2人にしてみたら部活動が行われないだけなので、ただお互い何となく一緒に帰るいつもの生活でした。

 

話題はいつもと同じかテストの話題。数学がとても難しくなっているらしいだの、○○ちゃんがテストの問題を見ただの、お互いに身長が伸びただのと、まあ他愛もない会話が繰り広げられていました。

 

 

ただ、少しづつ会話の中にユウスケ君の存在が入り込んでいました。

 

さやかちゃんも優しい子だったので、さすがに僕の前でベラベラと話すようなことはしていませんでしたが、明らかに僕を見ながら目の前にいる僕を見ていない雰囲気がありました。

 

そういえばユウスケが~~~ ユウスケはね~~~ 妙に浮ついた声、僕の前では見せてこなかった声色と表情。

 

 

誰を見てるか?何を見てるか?誰を思い浮かべてるか?そんなのは僕が一番わかっています。ユウスケ君です。

 

何とまあ悲しい事でしょう。僕の涙ぐましい仲介によってさやかちゃんは見事ユウスケ君の事を好きになってしまったのです。

 

画像

(まだ終わらないよ)

 

嗚呼、何と悲しきテスト週間でしょう。さやかちゃんの心に気付いてからは勉強も手に付かず、箸にも棒にも掛からない平凡な成績に落ち着いてしまいました。

 

テストが明けてしばらくし、クラスメイトのみんなは迫りくる夏休みに心を躍らせ、配られる夏休みの宿題に顔を歪ませるような時期がやってきました。

 

テスト明けの部活で身体の鈍りをほぐし、少しずつ体を夏休みの部活に向けて作っていたある日の帰り道。

僕もさやかちゃんも部活に入って初めての大会が近付いてきていました。お互いに頑張ろうね!優勝してよ~などとエールを送り、いつものようにじゃあね!と別れようとした時の事でした。さやかちゃんが突然呼び止めてきたのです。

 

さ「ねえゆーみん!」

 

 

ゆ「なに?」

 

 

さ「実はこの前告白されててさ、あたし、ユウスケと付き合うことにした!色々してくれたって話も聞いたよ!ありがとね!」

 

 

 

ゆ「、、、」

 

 

ゆ「へ、へぇ~~~wいいじゃんwおめでとうやねw」

 

ゆ「い、いや~wマジかwまさかユウスケとさやかが~wヘェ~~~wこりゃあめでたいなあw じゃあ俺帰るわ!じゃあまた明日!w」

 

 

 

この男、どこまでも逃げ続け、どこまでも自分に正直になれず、常に道化を演じ続け、そして自らの敗北が決定したタイミングであがき始める。

それは前回も、これからも、そして今23歳になっても変わらない。

 

 

だけど、この時はまだ人のことを想いやれていた気がする。

 

まだ人として高いステージにいた気がする。

 

次回、さやかちゃんと”俺”第3話「体育祭(仮名)」

ユウスケ君と付き合いはじめて突入した夏休み。そして夏休み明けの体育祭。果たして、"俺"とさやかちゃんに待ち受ける大事件とは…

 

お楽しみに!