前回のあらすじ
・クラス分け、さやかちゃんと自分は別クラスに
↑神のカップリングね
前回は、部長としての仕事をこなすさやかちゃんに僕が腕組み後方彼氏面をしていたところで終わりました。
自分はまだまだクソガキのままだったのに、一緒にクソガキやってたはずのさやかちゃんは後輩をまとめ、同級生を叱咤し、顧問の先生とも上手くやっている。
そりゃあ惹かれもします。
しかし、部活以外ではその関係性は逆転しました。
さやかちゃんもさすがに人の子、しばらくすると部長のストレスがすごいのか帰りに僕に愚痴をこぼすことが多くなってきました。
後輩どうしで仲が悪い子がいたり、同級生どうしでも焦げ臭くなってきてると…まあ女所帯ではありがちな話でした。
幸か不幸か、当時の僕は女所帯に入ったことがなく、的外れなアドバイスをすることもなく話を聞くことだけに徹することができました。その時下手に女所帯の経験があればさやかちゃんの好感度上げたさに余計な一言を放ってばかりだったでしょう。
さやかちゃんはとても優しい子でした。優しいがゆえに全ての問題を真剣に受け止めすぎ、全てを自分が解決しようとして考えすぎて疲れ切っている様子でした。
対して僕はまだまだアホなクソガキ。アニメの話やボカロの話をしてさやかちゃんの気を紛らわすことしかできず、有効な解決策が思いつかないうえに話を逸らすしかできない自分をもどかしく思ったことをよく覚えています。
さて、その時の僕の生活に目を向けると、僕は僕で悲惨なものでした。
自分も自分で部活動の人間関係があまりうまくいってない時期があり、流れに流れてインターネット、それも某匿名巨大掲示板にドが付くほどハマってしまいました。毎日毎日レスバトルをし、クソスレを立て…の日々。成績も目に見えて落ちたし、思考も影響されてかなり歪んだ思想を持ったりした時期もありました。
今にして思えば、中学2年生でその時期を通過したのは運が良かったな、とも思います。後の学力も犠牲にしてでも、得られたものは大きい気がします。
閑話休題。
さやかちゃんの悩みも少し落ち着いたころ、いつものように過ごしていたところにあまり話したことのない女子の集団から声をかけられました。
内容は「さやかちゃんと付き合ってるの?」という質問でした。まあ聞きたくなる気持ちはわかります。僕のようなドが付くほどの陰キャラが中学に上がって以来ずっとさやかちゃんとずっと仲良くしていたからです。
ただ、1年生の時にも似たような質問は嫌というほど受けてたので、いつも通り友達なだけだよ~自分とさやかちゃんなんて釣り合わないよ~笑と流していると、
「でも1組の子に聞いた感じだとさやかちゃんがゆーみんの事良いって言ってたって聞いたけどな~」
ふーん?
いや?さやかちゃんとは友達なので?それ以上にはならないので?キモオタ陰キャなりの線引きはできてますよっとw
できるか~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
わかりやすく浮かれてしまいました。近しい人間からの言質を取ったわけでもないのに、又聞きの又聞きに近い本当に確証もないことなのに、まるで帰り道に1万円札が落ちてた時のように興奮してしまいました。
さて、それから先はひどいものでした。さやかちゃんと一緒に帰る時も内心はウキウキです。どんな話をしてても心ここにあらず、あの日言われた「さやかちゃんが自分のことを良いと言っていた」ってだけで有頂天になっていました。
ただでさえ幸せの絶頂に到達しているときの自分に、さらに耳を疑うような話がやってきます。
それはクラス分けでさやかちゃんと同じクラスになった友人からでした。
休み時間に突然人気の少ない場所に呼び止められ、首根っこを掴まれて小さい声で話しかけられました。
「オイ!さやかの奴マジでお前の事好きっぽいぞ!攻めるしかねえだろこれ!」
これには休み時間の喧騒を切り裂くほどのバカでかい声が出てしまいました。
条件は揃った、当時は確信していました。
パズルのピースはすべて揃った。あとはどちらかが行動を起こすだけ。
それは自分がやろう。人生14年、ついに男を見せる時がやってきたと思いました。
俺がさやかちゃんに思いを伝えて、夢のリア充の仲間入りだと、当時は確信していました。
勝負を決めるのは当時間近に迫っていた2度目の文化祭。
色々なことを話し、幸せな将来へ思いを馳せた帰り道で全てに決着をつけると、決めました。
そしてまだ何も知らない僕は茨の道へと突き進んでいきました。
そして、”僕”が"俺"へと変わる運命の日も、近付いてきていました。
次回さやかちゃんと"俺"第9話「"俺"」
お楽しみに!