ゆみブロ

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さやかちゃんと"俺"第3話「アンストッパブル新学期」

前回のあらすじ

・ユウスケくん、さやかちゃんに猛アプローチ

・初めての期末テストでさやかちゃんからユウスケくんの話を聞く

・テスト明け、ユウスケくんとさやかちゃんが付き合ったという報告をさやかちゃん本人から受ける

大事件が起きた。さやかちゃんとユウスケくんがついに付き合ってしまいました。そしてそのまま夏休みに突入。口では友達2人がついに付き合ったことに祝福の言葉を送るも、もちろん心中は穏やかではありません。

 

 

いや当然自分のせいです。そうなるよう、さやかちゃんとユウスケ君が付き合うように誘導したのは自分なのですから。

 

 

あまりにも心が汚れた邪悪なキューピッドです。

 

 

そのまま突入した夏休み。いくらお互い部活動が毎日のようにあるといっても携帯も持ってない中学生が連絡を取りあう手段などなく、夏休みの間は自分と顔を合わせることはありませんでした

 

 

ただ一度、たまたま、本当にたまたまランニングコースが被ってお話する機会があった。その時にユウスケとはどう?と聞いたときに向けられたのは幸せそうな笑顔、そして他意など一つもないであろう自分への感謝でした。

 

 

明日初デートするんだ!ゆーみんもこの後の練習頑張ってね!と言い残し、最後に僕の背中をパシッと叩いて走り去っていくさやかちゃんは、クソ暑い真夏の日差しの中でもまた一段と光り輝いていました。

 

 

そしてその姿を同級生に見られてた僕はしばらく弄られることになります。

 

いやマジでやめろってwさやかちゃん彼氏いるからwいやマジでそういうのじゃないってwと言いながら口角が上がりっぱなしの僕、どれだけ浮かれてるように見えたんでしょう。

 

今思えば、さやかちゃんは当時から節目節目で感謝の言葉と人への応援をしっかりと言える子でした。そういう所に惹かれたのかもしれませんね。

 

10年越しのキモいノロケは置いておきましょう。

 

そんなこんなで初めての夏休みは特に何もなく終わりました。

あの夏はひたすらに暑かったことを覚えています。ロンドンオリンピックのあった年です。

 

さて、夏休みが終われば当然2学期が始まります。関係ない話ですが今の中学校って2学期制と3学期制、どちらが多いんでしょうね。

 

幕を開けた2学期、久しぶりに会う友達、部活で毎日のように顔を合わせていた友達。日焼けしたクラスメイトとの再会は特別な感じがしました。

 

気分も一新、2学期もテストに部活にがんばるぞ~と思いながら始まった2学期。まだまだ暑さが残る日々を過ごす中、さやかちゃんはユウスケとどうなったのかな…なんて暗い感情が自分の心に少しずつ影を落としていました。

 

 

そんなある日の帰り道、久しぶりにさやかちゃんと帰りが一緒だった日に事件が起きました。いや、自分の知らないところで既に事件は起こっており、自分はその顛末をさやかちゃんから聞かされる形となりました。

 

結論から書きます。

 

 

さやかちゃんがユウスケくんと別れました。

 

 

刹那である。付き合ってから別れるまで2ヶ月弱、しかもそのうち1ヶ月は夏休みだったので体感では1ヶ月弱、もしかしたら1ヶ月もしないくらいでしょうか。

 

いつも通りたわいもない話をしながら、突然ぶっこまれた破局報告。思わず「へ?」と気の抜けた返事を返してしまい、「だから!別れたんだって!」と続けざまに叩きこまれたのはよく覚えています。

 

夏休みはあんなに楽しそうだったのになぜ急に別れたのか…マ、マジか…などと適当な相槌を打ってごまかしながら別れた理由を聞くか聞くまいか悩んでいたところ、返事に困ったのを察したのかさやかちゃんの口から別れた理由を教えてくれました。

 

さやかちゃんが言うには、2学期が始まってすぐに、ユウスケくんがさやかちゃん以外の女の子と遊びに行ってたという話をユウスケくんの友達から聞かされたというのです。

さやかちゃんは言います。これは浮気だと。今にして振り返ってみるとクソガキがいっちょ前に何言ってんねんとはなりますが、当時のさやかちゃんは真剣に悲しんでいました。

 

そんな話を聞いている当のゆーみん少年はというと……

 

「いや~~~それはユウスケが悪いなあ~~~うん、それはユウスケが悪いね、さやかちゃんがいるのにそれはないよなぁ~~~」

 

合わせました。とにかく合わせました。正直内心ではユウスケくんが悪いなどとは欠片も思っておらず、付き合う前からの友達なんだしそれくらい許してやろうよ…と思っていました。

 

ただ、ここで迂闊に自分の思っていることを口に出すと自分とさやかちゃんとの関係すら終わりかねません。とにかく合わせ、傷心のさやかちゃんをなだめることに必死でした。

まあまあ…もう別れたんだしさ、切り替えていこうぜ!などとひたすらに怒りを鎮めようとしていました。

 

さやかちゃんの怒りは2人がいつも分かれている交差点に入っても留まるところを知らず、本当は帰りたかったけどこのまま帰れるわけもなく、ずっとさやかちゃんの話を聞いていました。

 

あれから何分が経ったのでしょう。そろそろ落ち着いた?じゃあ俺は帰るねと言い残し、すっかり熱を失った自転車のサドルにまたがると、少し名残惜しそうな顔をしたさやかちゃんが自分を呼び止めてきました。

 

さ「今日はありがとね、ちょっとすっきりしたかも、ゆーみんのおかげだね」

 

ゆ「いや~気にしないでも良いよ、そういうときもある」

 

さ「何かさ、」

 

ゆ「?」

 

さ「ゆーみんってやさしいんだね、ちょっと見直しちゃった

 

ゆ「ありがとwじゃあね」

 

チリンチリーン

 

ゆ(今とんでもないこと言ってたような…)

 

ゆ(ちょっとイイ感じかもしれんw)

 

 

この思い上がりが、後の自分に大きく響くとはつゆ知らず、当時の自分は浮かれてしまいました。

今思い返しても恥ずかしくなってしまいます。

 

 

次回さやかちゃんと"俺"第4話「秋だ!文化祭だ!(仮題)」

 

お楽しみに!