ゆみブロ

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さやかちゃんと"俺"第4話「アクセル全開」

前回のあらすじ

・さやかちゃん、ユウスケくんと別れる

・さやかちゃん、ヘラって俺に泣きつく

・さやかちゃんにやさしいと言ってもらい、俺ニコニコ

 

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さて、前回はヘラったさやかちゃんに付き合い話を聞いていたら「ゆーみんって優しいんだね」と言われたところで終わりました。

さやかちゃんと"俺"では何度も書いてきましたが、当時の僕はまだまだ人間との交流が足りておらず、何でもかんでも真に受けてしまうタイプでした。ここでは書きませんが、そのせいで結構色々ありました。

さて、そんな当時の自分とオタク特有のイキりやすさ、そして人生で初めて女の子によく見られてしまった嬉しさ、これが混ざり合ったらどうなっちゃうんだ~~~い???

 

 

 

 

 

まあ想像がついてた人もいるでしょう。

 

イキってしまいました。

 

今にして思えば、自分が成長するには避けられない事だったと思う。

この時にイキっておいたおかげで、今の自分がいるから。

 

 

 

前フリはさておき、当時の自分がどうイキってたのかというと…

いきなりさやかちゃんを名前呼びし始めました。

まあ中学生の仲いい男女なら名前呼びくらい普通だと思う人もいるでしょう。しかし、さやかちゃんは男女問わず呼びやすいニックネームがあり、自分もあの日まではそうやって呼んでいました。

 

 

いきなり名前呼びになった日にはあのさやかちゃんもさすがに驚いていました。だけどすぐ受け入れてくれました。

面食らってたさやかちゃんには僕もさすがに戸惑い、やっぱやめとこうかwとなっていたところで僕にかけてくれた「でもゆーみんだったら悪い気はしないかも」という言葉、今でも覚えています。

もうそんな言葉をかけてもらったら当時の愚かな僕はもうさやかちゃんのこと好きになっちゃいますよね。さやかちゃん大好きなキモオタの完成です。

 

二人の関係にも微妙に変化が出てきた中で迎えた体育祭/文化祭シーズン。

当然ながら初めての体育祭、そして初めての文化祭です。

しかし、片田舎の中学校なので文化祭でのクラス対抗出し物などは特になく、メインイベントはクラス対抗合唱コンクールと、有志がステージに立って行うタレントショーがメインでした。

ありがちな展開だらけです。練習をまじめにやらない男子、めちゃくちゃキレ始める女子、これを読んでる皆さんも一度は遭遇したことがあるかもしれないような中に自分もいました。

 

そんな中での僕とさやかちゃんはと言いますと、まあ比較的まじめに練習に取り組む方ではありましたが、先陣を切るというほどでもありませんでした。陰キャオタクにまだまだ人権などなかった時代、仕方ないですね。

 

 

ちなみに僕とさやかちゃんは出席番号が近く、練習する列の並びになるとだいたい後ろの方の列で隣同士になっていたので、よくこっそりおしゃべりしてました。そこでももちろん名前呼びです。イキってます。

 

 

こんな生活を続けてると、当然クラスでもあいつら仲良すぎじゃね…?となります。以前にもありましたが、今回はかなり疑われました。それは自分だけではなく、さやかちゃんも女子の友達からかなり疑われていたようでした。ゆーみんなんてやめときなよ~と言われているのを小耳にはさんだ日は枕を濡らしました。今でも忘れられない日です。臥薪嘗胆ってことです。

 

 

さて、クソ暑い中で迎えた文化祭と体育祭は無事に終了しました。

しかし、さやかちゃんと僕の間には特段目立ったイベントは起こりませんでした。

強いて言えば、クラス対抗全員リレーの自分の番が回ってくるとき、さやかちゃんに「見とけよ~」と言ってめちゃくちゃかっこつけながら出走したものの、特に何も起こらず次の人にバトンを渡した事と、観戦中にノリで友達に僕がさやかちゃんの事好きなのをばらされた事と、一日外にいたのでとてつもなく日焼けしたことくらいでしょうか。

 

 

え?

 

 

 

はい。

 

観戦中にノリで友達に僕がさやかちゃんの事好きなのをばらされちゃいました。

 

 

飲み物取りに行って戻ってきたら「いやゆーみん絶対さやかの事好きだよw」という会話が聞こえてきた時は衝撃でしたね。そしてその友達は去って行って僕とさやかちゃんだけになるんですからそりゃあもう大変なムードでした。

 

僕は必死に聞いてないふりをしました。当然です。まだまだ僕たちはクソガキ。相手に行為が知られた時点で謎に敗北感を味わう年代でした。

 

さっきお茶を飲んだはずなのに渇く口、回らない舌、定まらない視線。

 

 

地獄の始まりです。

 

 

それから少し経った、ある日の帰り道。その日は用事があったので一人で帰っていました。後ろから僕の名前を呼びながら高速で迫ってくる影がありました。

 

さやかちゃんです。

 

 

ゆ「急にどうしたの?大変だったでしょ」

 

さ「体育祭の日に話してたあれ、どうなの?」

 

ゆ「…………」

 

ああ…こういう感じかあ…

 

さ「好きな人いるんでしょ?」

 

ゆ「まあ…そうだね」

 

脚の感覚がない。この先がどうなるのか考えるだけで息が荒くなってくる。きっと拒絶されるんだろうなあ、楽しい時間だった…

 

 

さ「私なんでしょ?」

 

どうする?ごまかすか?いや…だめだ。もう逃げられない…さすがにここで逃げたら、だめな気がする……もう、前に進むしかない。

 

 

ゆ「………………うん」

 

 

 

さ「やっぱり。それが知りたかっただけ!じゃあね!」

 

 

 

さやかちゃんは去っていきました。

何が起きたかよく理解できず、その場に立ち尽くした僕を置いて。

 

 

 

次回さやかちゃんと"俺"第5話「豪雨」

お楽しみに!